これまでは、鉛筆を持たせようとしても、手で持つ事さえ嫌がって、決して手で触れませんでした。それが、最近になって、鉛筆があると、それを自分で手に取り、殴り書きをしました。
鉛筆を触るのも嫌だなんて、普通の子供さんでは、考えられない事ですが、重度の自閉症の場合、手に物が触れる事を極端に嫌がる子供さんが時々います。その場合、他人は勿論のこと、お父さんやお母さんと手をつなぐ事さえも拒否して振り払います。お父さんは特に、自分が嫌われていると勘違いして、ショックを受ける事がありますが、これは、嫌っているのではなく、手に触れられるのが嫌なのです。
本児も、トレーニングを始めた頃は、手に触れられるのが嫌で、人の手は勿論のこと、食事をするスプーンや他の食器さえも触るのが嫌で、食事の時は、両手を後ろに隠してしまいます。仕方ないのでお母さんが、毎回、スプーンで掬って口まで持っていって食べさしていました。勿論、人とは一切手を触れさせません。手をつなごうとしたら、手を振り切って大泣きです。
この状態から、トレーニングを続ける内に、少しずつ少しずつ手に触っても嫌がらなくなり、その内に、私や他の人と手をつなげるようになりました。食事の時も、両手を出してスプーンで食べようとするようになりました。
鉛筆も握らせようとしても、全く握らない状態でしたが、最近ようやく自ら握る様になりました。小さな一歩ですが、本児にとっては、大きな一歩です。
これからも、本児の一歩一歩確かな成長を、親御さんと共に楽しみにしています。
脳力開発研究所