幼稚園に行くまでは、何でもよく食べていました。障害児教育の専門家の強いすすめもあって、普通の幼稚園に通う事になりました。しかし、言葉も全く理解出来ず、勿論発語も無く、情緒も不安定であった本児にとって、健常児と一緒に幼稚園で過ごす事は、かなりストレスだったようです。
幼稚園では、園の先生方が、一生懸命本児が出来る事を少しでもさせようと努力して下さいましたが、先生が熱心にさせようとすればするほど、本児にストレスが溜まってきました。
本児は、幼稚園の門を入るのを、泣き叫んで両手両足で拒んでいました。そして、幼稚園では、園に入ってからお帰りまで、ほとんどず?っと泣いていました。泣きつかれて眠っていると、「寝かしてはいけません。」と、園の先生に起こされました。お母さんは、堪え難い気持ちでそれを見ているしかありませんでした。
お母さんは、一部始終を見ていて、いたたまれない気持ちでした。しかし、本児は、普段から、不機嫌な事も多く、言葉も全く喋れず、また、障害児教育の大学教授からも、「何を置いても、集団教育に入れないといけません。」と、強く指導されていたため、お母さんは堪え難い気持ちを抑えて、本児を毎日幼稚園に連れて行き続けました。障害児を集団の中に入れるように勧めるのは、障害児教育専門家として常識です。
幼稚園では、泣いてばかり。数ヶ月すると、本児は、それまで何でも食べていたのが、少しづつ、いろんな物を食べるのを拒否するようになり、ご飯も食べなくなりました。体重も減ってきました。理由も無く泣きだして、癇癪もかなりありました。それを見ているしかないお母さんのストレスも大変なものでした。いつ欝になってもおかしくない精神状態だったそうです。
幼稚園も善かれと思って、健常児に対するしつけを、頑張って熱心にしてくれたようですが、本児にとっては、大変難しく厳しい事になりました。
そんな時に、たまたま当所に行き当たりました。私は、お母さんのお話を聞いて、本児が、いろんな物を食べられなくなったり、体重が減ったりしているのは、幼稚園の教育方針が本児に合わない事によるストレスであろうと直感しました。そこで、その幼稚園を止めるように勧めました。お母さんは少し躊躇されましたが、幼稚園を止めました。そうすると、ストレスが減ってきて、少しづつですが、いろんな物を食べられるようになってきました。しかし、元のように食べるようになるには、かなり時間がかかります。今もまだ、ご飯が食べられません。
幼稚園で辛い思いをしている間は、本児は、当所に来ても、玄関で部屋に入るのをひどく嫌がっていました。子供さんにとって、自宅以外のところで先生っぽい人がいるという意味で、幼稚園と当所を同じように思うようです。しかし、幼稚園を止めると次第に落ち着いて来ました。ニコニコして部屋に入ってきて、笑顔も見せるようになりました。
今では、いつも可愛い笑顔で部屋に入って来て、トレーニング中も、しょっちゅう、とびっきりの笑顔で、父ちゃん、母ちゃん、私を、魅了し続けています。そして、私たち大人は、いつも本児に癒されています。有り難うね。○ちゃん。
脳力開発研究所